お正月に、年の頃なら70歳位の一人の女性が、補聴器相談にお越しになりました。その方は隣近所から“いつも聞こえていない”と言われ、隣組でも仲間外れにされていたそうです。病院に行っても、“聞こえは悪いが治療をすることはありません”との事でした。もうすぐ、正月に隣組の新年会が有るので困ったなと悩んでおられたそうです。
お正月の当社のチラシを見て、“これだ”と言って、チラシを握りしめて来店されました。チラシには“人の耳は加齢により、高い周波数が聞きづらくなり、子音が聞こえにくいため、言葉の意味が良く分からない事がある“と書かれていました。
来店され、お客様のお話をお伺いし、聴力測定、補聴器の選択、補聴効果等測定をさせていただき、一通りの販売手順を終え、貸出となりました。その補聴器を耳に付け、新年会に出席されました。周りの皆さんは、いつも通り、あの人には何を言っても聞こえないからと言って、無視されていました。しかし、自分は補聴器を付ける事で良く聞こえる様になり、みんなの悪口も、それぞれの人の話しも良く聞こえておりました。今日の私は話が良く聞こえ、楽しい新年会だなと思いながら聞いていたそうです。その内容と自分がこんなに聞こえると言う嬉しさあまり、一人下を向いて笑ってしまいました。そして、これだけ聴こえるのだから、私も話の仲間に入れて貰おうかと思いましたが、今まで聞こえていなかった人が良く聞こえる様になると、おかしいのではないかと思い、新年会を早めに切り上げて、笑いが込み上げて来るのを楽しみながら帰ってきたと話してくれました。だから、補聴器を是非売って下さいと来店されました。
この話を聞かせていただき、私は大変感動しました。“聞こえを届ける仕事は補聴器屋冥利に尽きる“と、話を酒の肴にして、私は美酒に酔いました。
こんなに感動させていただき、大変ありがとうございました。
日本補聴器販売店協会 近畿支部支部長
京都府与謝郡与謝野町字算所440
補聴器センターアイ
代表取締役小長谷泰志